『地獄の花園』のネタバレ感想。天賦の才を持つのはやはり蘭である

『地獄の花園』のネタバレ感想。天賦の才を持つのはやはり蘭である

バカリズムの脚本で話題になったコメディ映画。この手の作品は良い意味で集中しなくてよいためハイボール片手に鑑賞。すると意外に楽しめたのでレビューしたい。

以下、ネタバレで感想を語るので鑑賞後に閲覧してください。

2021/日本
上映時間:102分
監督:関和亮
脚本:バカリズム
出演:永野芽郁、広瀬アリス、菜々緒、遠藤憲一 ほか
Amazonプライムビデオで視聴可能

蘭は坊屋春道ではなく直子はリンダマンだった

平凡なOL・田中直子(永野芽郁)が働く三富士株式会社では、元ヤンOLたちによる派閥争いが繰り広げられていた。私の一押しは”狂犬”紫織(川栄李奈)だったが、ライバル派閥の”悪魔の朱里”(菜々緒)にあっさり敗れてしまう。ちなみに、川栄を応援した理由は『マジすか学園』のバカモノを思い出したからだ。

朱里はその後、服役していたにもかかわらず簡単に職場復帰する”大怪獣・悦子”(大島美幸)をも撃破しトップに君臨。しかし間もなくして、彗星のように現れた中途採用者・北条蘭(広瀬アリス)のハイキックに倒れた。

蘭の存在は転校生ながら既存の実力者を簡単になぎ倒す坊屋春道や花木九里虎そのもので、他社の極悪OLたちもまったく歯が立たない。蘭に敗れ、蘭と直子のカフェ代を払わされる白鳥真央(長井短)の引きつった笑顔がとてもかわいかった。

だが、蘭はトムスン三銃士の一人、冴木妙子(勝村政信)のパンチに沈む。3番勝負の3人目で体力を消耗していたとはいえ、文句なしのKOすぎて、万全の状態でも勝てたかどうか怪しい。たとえ勝利できたとしても、その後に控える”魔王”赤城涼子(遠藤憲一)には敵わなかったろう。

最強のカリスマヤンキー(OL)であり主人公風を吹かしていた人物が、大海に出れば井の中の蛙でしかなかったというのが物語前半のポイントだ。同時に、実は直子がリンダマンだったことが明らかになる。

天賦の才を持つ蘭がすべてをかっさらう

自分を不良漫画の主人公のように思っていた蘭はショックで落ち込むが、このままでは終われないと、日本最初のOLらしい七瀬小夜(室井滋)の下で修行を積む。

この修行エピソードはこれぞ5流コメディ映画という感じで本当にくだらないが、私は嫌いではない。何より、才能にあぐらをかいていた主人公が良き師に出会って覚醒するさまは少年漫画そのものである。たとえば『ピンポン』のペコとか。これOL物語だけど。

修行後の蘭は、冴木妙子へのリベンジはもちろん、赤城涼子、その上の鬼丸麗奈までまとめてボコれるほどの実力を身につけたが、直子には一歩及ばなかった。しかし、直子が密かに想いを寄せる同僚・松浦慎二 (森崎ウィン)は蘭に取られていたようで、相撲に買って勝負に負けた、みたいなオチで終わる。

OLを舞台にしたコメディなので、ちょうどよい締め方だと私は思う。

バカリズムらしい(?)笑いを好きになれるか

本作品の緊張と緩和は非常にわかりやすい。喧嘩しっぱなしのドヤンキーOLが、「最後の人換気扇よろしくね」といったり、同僚の男性社員には礼儀正しかったり。面白いかどうかは評価が分かれるだろうが、バカリズムらしいクスっとくる笑いを好きな人も多いだろう。

個人的に一番笑ったのは小ネタのやり取りではなく、トムスン三銃士と魔王・赤城がガチのおっさんという配役だったところだ。特に松尾諭は何かあかん。

以上、映画館で見ると「1800円……」となりそうだが、アマプラでハイボール片手に見るのにはちょうどよいと思う。

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